閉館した劇場と街がアート作品に!京都芸術大学アートプロデュース学科と高槻市が協働する8日間のアートイベント、高槻芸術時間「インタールード」が9/17(土)から開催。

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学校法人瓜生山学園 京都芸術大学(京都市左京区/学長 吉川左紀子)アートプロデュース学科は、高槻市主催のアートイベント、高槻芸術時間「インタールード」をプロデュースします(公式 WEB サイト https://inter-lude.net/)。
同イベントは、2023年3月にオープンする高槻城公園芸術文化劇場の開館記念プレイベントとして企画され、今年7月に閉館した高槻現代劇場 市民会館と、高槻の街なかを会場にして開催される8日間のみのアートイベントです。アートプロデュース学科教員であり、アーティストの山城大督がアーティスティック・ディレクターを務め、同学科の教員と学生が事前リサーチから運営まで関わっています。

京都芸術大学アートプロデュース学科は、人々が作品や物事と出会う空間や場を創造し、アートを通して社会に働きかける〈アートプロデュース〉を学ぶ学科です。現在、大きく変化する社会状況において、アートが担う役割も変化しています。アートは個人の作品制作や表現に留まることなく、新たな発想で「人・モノ・コト」をつなげ、課題に取り組むアート思考や、社会に働きかけるアートプロデュースが注目されています。
本学科では、芸術教育の社会実践として、社会のなかで実際にプロデュースを行う課題解決型のプロジェクトに継続的に取り組んでいます。その一つとして、2021年度に公益財団法人高槻市文化振興事業団(現:高槻市文化スポーツ振興事業団)からの依頼を受けて、高槻現代劇場 市民会館(1964年開館)の来館者調査を学生たちと実施。調査結果からは、「ふだん使いの劇場」として市民に長く親しまれてきた一方で、若い世代や文化芸術を身近に思っていない人たちにはあまり利用されていないという課題が浮かび上がりました。こうした結果を受けて高槻市は新劇場の開館に向け、これまで劇場にあまり行ったことがない人たちに働きかける企画を本学科に依頼。そうして立ち上がったのが 2組の現代アーティストを起用した高槻芸術時間「インタールード」です。
このプロジェクトにおいてアートプロデュース学科の教員・学生は、高槻市や事業団、アーティストと協働し、企画の構想から実施、アーティストの制作サポートまで全プロセスに関わり、新たな文化芸術に関心を寄せる市民層の開拓を行っていきます。さらに、その実施結果の検証を行い、自らのプロデュースのプロセスと成果を社会に公開していきます。
アートプロデュース学科では、高槻芸術時間「インタールード」を一過性のイベントではなく、劇場および文化施設の役割と市民との関係を更新していくプロジェクトとして取り組んでいます。

  • 「インタールード(interlude)」とは

劇の「幕間」に上演される短い喜劇や音楽の「間奏」の意味です。58年間にわたり市民に親しまれてきた高槻現代劇場 市民会館が閉館し、新しい高槻城公園芸術文化劇場が開館するまでの、「幕間」に思い出と驚きが出会うアートの時間が現れます。
旧高槻現代劇場 市民会館では、国内外で高い評価を得ている新進気鋭のアーティスト梅田哲也(うめだてつや)氏による、この時だけの特別なツアー形式の展覧会『9月0才』を開催します。観客は、かつて結婚式場も併設していたこの建物ならではの、不思議なアート空間に誘われます。街なかでは、藤原ちからと住吉山実里によるアート・コレクティブorangcosong(オランコソン)が『演劇クエスト 高槻編』を披露。orangcosongが高槻市内をリサーチして執筆した「冒険の書」を手掛かりに、観客一人ひとりが街中を歩いて物語を進めていく遊歩型ツアープロジェクトの高槻バージョンです。
新しい鑑賞者への働きかけとして、市内の中高生を対象にした「放課後ツアー」や、視覚に障害がある方とともに鑑賞する「見えない人と見える人の対話鑑賞ツアー」も開催します。

  • 参加アーティスト

梅田哲也
建物の構造や周囲の環境から着想を得たインスタレーションを制作し、美術館や博物館における展覧会のほかに、オルタナティブな空間や屋外において、サイトスペシフィックに作品を展開する。パフォーマンスでは、普段行き慣れない場所へ観客を招待するツアー作品や、劇場の機能にフォーカスした舞台作品、中心点をもたない合唱のプロジェクトなどを国内外で発表。また先鋭的な音響のアーティストとしても国際的に知られている。近年のパフォーマンス作品に『Composite: Variations / Circle 』(Kunstenfestivaldesarts 2017、ブリュッセル、ベルギー)、『INTERNSHIP』(国立アジア文化殿堂、光州、韓国、2016 年/TPAM 2018、 KAAT 神奈川芸術劇場ホール)など。近年の展覧会に「さいたま国際芸術祭 2020」(旧大宮区役所)、「東海岸大地藝術節」(台東、台湾、2018 年)、個展では「梅田哲也 イン 別府『O滞』」(別府、2020-2021 年)、 『うたの起源』(福岡市美術館、福岡、2019-2020 年)、『See, Look at Observed whatWatching is』(Portland Institute for Contemporary Art、ポートランド、米国、2016 年) がある。
https://siranami.com/

orangcosong(オランコソン)
横浜を拠点にアジア各地で活動する藤原ちからと住吉山実里によるアート・コレクティブ(※)。名称はインドネシア語の orang(人)と kosong(空っぽ)から。演劇やダンスなど舞台芸術の経験をベースにしながらも、ジャンルにこだわらず、プロジェクトごとに様々な他者と結びついて創作を行っている。「冒険の書」を手にして町を歩く遊歩型ツアープロジェクト『演劇クエスト』(2014-)は、これまで横浜、城崎、マニラ、デュッセルドルフ、安山、香港、東京、バンコク、ローザンヌ、マカオ、妙高で展開されてきた。そのほか、多国籍のアーティストたちとつくりあげるテーブルパフォーマンス『IsLand Bar』(2017-)、完全な沈黙のもと筆談のみで対話する『筆談会』(2017-)、映像作品『Stay Home Labyrinth』(2020)、ライブ配信『Good Morning, Yokohama』(2021-)など。
https://orangcosong.com/

※:アート・コレクティブ:プロジェクトごとに様々なメンバーとともに創作を行い、新たな表現方法や仕組みづくりを模索すること。

  • ​高槻芸術時間「インタールード」
    会 期:2022 年 9 月 17 日(土)~9 月 25 日(日)[8 日間] *9 月 20 日(火)は休館
    会 場:高槻現代劇場 市民会館(2022 年 7 月末日閉館)及び高槻市内
    料 金:参加無料
    参加作家:梅田哲也 (うめだてつや)、orangcosong(オランコソン)
    主 催:高槻市、公益財団法人高槻市文化スポーツ振興事業団
    共 催:京都芸術大学
    企 画:京都芸術大学アートプロデュース学科
    アーティスティック・ディレクター:山城大督(京都芸術大学)
    公式 WEB サイト https://inter-lude.net/

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Posted by 鬼岩 正和